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第282話 

遠藤西也の胸には不安が走り、「お前、俺が告白してると思った?」と聞いた。

「それ以外に何があるの?あんなに明らかな表情スタンプ、はっきり愛してるって書かれてるんだよ?もし私が若子だったら、あなたの本心に気づいてるに決まってるわ」

遠藤西也は一瞬言葉に詰まり、胸に不安の予感が広がった。「いや、きっとそこまで悪い状況じゃない。あの時、ただ適当に送っただけで、深く考えてなかったんだ」

「本当に考えてなかったの?」

遠藤花が鋭く問い返した。「表情スタンプなんてたくさんあるのに、なんでよりによってそれを選んだの?私の予想だけど、きっとあなたは“愛してる”って打ってる途中で、そのスタンプが自動で出てきたんでしょう?で、言葉にするのは怖くて、スタンプだけ送っちゃったんじゃない?」

遠藤西也は言葉を失い、妹の指摘にまるで心を見透かされたかのように感じた。

咳払いをして、「ただのスタンプだよ。大したことない」と言ったが、自分でそれを信じきれていなかった。

「大したことないなら、なんで私に相談してるの?」と花が少し苛立ち気味に言った。

「俺は…」遠藤西也は珍しく妹に言い負かされて、言葉が出なかった。

「で、今はどうすればいいと思う?教えてくれよ」遠藤西也は少し焦り始めていた。彼は若子に対しての気持ちがあまりに強く、下手に表明すると彼女を怖がらせてしまうことを恐れていた。

若子はまだ藤沢修との別れから立ち直れていないはずで、今の彼女にとって新たな告白は、癒しどころかさらなる重圧になってしまうかもしれない。

若子は、他の男に傷つけられたからといって、すぐに新しい恋人でその傷を埋めようとするタイプではない。

遠藤西也の知る限り、若子は一度男性に傷つけられたら、次の恋愛には簡単に踏み出さないタイプだ。

むしろ、追われれば追われるほど、彼女はどんどん距離を置いてしまう。

「私に聞いてるの?」と花は自分を指さして言った。

遠藤西也は力強く頷いた。「お前、俺のために力を尽くしてくれるって言ってたろ?だから今は若子の立場になって考えてくれよ」

普段は決断力に長けている遠藤西也が、若子に関することになると急に自信が揺らぐ様子を見て、花は少し呆れながらも口元に手を当てて考え込んだ。

「じゃあ、こう考えたら?もし私だったら、まずあなたに連絡して『愛してるって意味だったの?も
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